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日本の心支える川口 ここ一番の強さと経験注入する主将 サッカーW杯(産経新聞)

 サッカー・ワールドカップ(W杯)南アフリカ大会がいよいよ開幕する。直前まで不振が続いた日本代表にとって必要なのは「精神的支柱」。岡田武史監督から「キャプテンシーを発揮してほしい」と招集された“第3のGK”でチームキャプテンの川口能活(よしかつ)(34)の真価の見せどころだ。「日本代表に勢いを」。恩師らは川口のリーダーシップに期待をふくらませている。(高久清史)

 代表が発表されてから数日後の5月中旬、川口は母校、清水商(静岡市清水区)近くのすし店にいた。元代表の名波浩(37)、代表からもれた清水エスパルスの小野伸二(30)ら同校のOB、そして恩師である同校サッカー部の大滝雅良監督(58)が一緒だった。

 「伸二の残念会と、能活の激励会をやろう」

 大滝監督の一言で実現したのだ。

 「僕は選ばれてもいいんでしょうか」

 激励会の終わり間際、川口はこっそりと大滝監督に相談した。大滝監督は即答した。

 「ただうまい、ただ強いで選手の評価が決まるわけではない。みんながガムシャラに戦うだけじゃだめなんだ。能活が必要なんだ。胸を張れ」

 川口は「はい」と恩師の言葉にうなずいたという。

 昨年9月のJリーグの試合で右脛骨(けいこつ)折の大けがをして以降、川口は一度も公式戦に出場していない。約2カ月間の入院生活で足はやせ細ったが、リハビリに付き添ったジュビロ磐田のトレーナー、阿部貴弘さん(32)は「いつも『もっと(ハードな練習を)できるんじゃないか』と言っていた。あの精神力、意欲はすごい」と振り返る。

 川口は苦しみながらも、ピッチの外からチームメートを支えた。「チームが不振のとき、いろいろな選手が川口さんに近づき、『こうした方がよかったですか?』と試合のことを相談した」。阿部さんは川口のことを「チームから一目置かれる存在」と表現する。

 「チームキャプテン」の役割とは何か。スポーツジャーナリストの二宮清純氏は「精神的な支柱になること」と指摘した。その上で、「川口はアトランタ五輪(1996年)のブラジル戦で勝利の立役者となり、フランス大会からW杯代表に選ばれ続けた経験力がある」と評価。過去に欧州のチームに移籍したが出場機会に恵まれなかった経験や、今回の大けがを挙げ、「挫折も味わい、苦しい状況で何を考えるべきかを知っている。若い選手をしかり、ほめて、精神面をケアしてほしい」と語った。

 大滝監督は「川口には精神的な包容力と、ここ一番の強さがあった。W杯で接着剤となって若い人をまとめてほしい。チームがまとまって勢いがついたとき、勝つチャンスが生まれる」と期待をこめる。

 阿部さんも「奇跡を起こし続けた人。今回も何かやってくれる」と確信している。

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